旧家の面影を再現(建具や床の間は旧宅分を再利用)した格子の町家
民族学者である施主様が探し求めて手に入れられた古民家が、前面道路の拡張・セットバックのために建替えざるを得なくなり、何とか前の建物の面影を残して、建替えたいとのご希望を職人たちの全面的な協力で実現。大学で建築を学ばれた施主様自らが基本図面を描き、弊社の設計が具体化。一階の表の格子、木製建具、床の間等を再利用したいとのご意向を踏まえ、躯体を建具のサイズから逆算してバリアフリー化も合せて設計しました。主要躯体のみプレカット、その他躯体や意匠部分は大工が手刻みで製作。屋内は建具(修理・再塗装)に合せて、梁や天井、無塗装の無垢床にも古色を施し、全体的に以前の建物の雰囲気を再現するように心がけました。施主様は工事中はほぼ毎日、現場で職人の仕事を見学され、職人たちの匠の技に感嘆のお言葉を多数頂戴しました。
旧宅の障子、木戸を建具師が調整、塗装職人が、天井、床(1階)、梁と合わせて再塗装。二階は無塗装の無垢床で仕上げ、経年での色合い変化を楽しむ趣向としました。
2階にはほぼ半分のスペースを占める大書庫を設計。書籍の重量に耐える構造補強を施しております。
玄関横の腰掛は建て替えに伴い伐採した裏庭の植栽から製作しました。